東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)195号 判決 1990年10月23日
東京都千代田区丸の内二丁目六番一号
原告
古河電気工業株式会社
右代表者代表取締役
日下部悦二
右訴訟代理人弁理士
若林広志
東京都千代田区霞が関三丁目四番三号
被告
特許庁長官 植松敏
右指定代理人
治田義孝
同
稲垣良
同
松木禎夫
同
宮崎勝義
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告
「特許庁が昭和五六年審判第一七六三二号事件について昭和六三年七月二一日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決。
二 被告
主文と同旨の判決。
第二 請求の原因
一 特許庁における手続の経緯
出願人 原告
出願日 昭和五二年一二月二一日(昭和五二年特許願第一五四〇九五号)発明の名称 「内面溝付伝熱管」(その後、小型空調機熱交換器用内面溝付伝熱管」と訂正)
拒絶査定 昭和五六年六月一六日
審判請求 昭和五六年八月二七日(昭和五六年審判第一七六三二号事件)
審判請求不成立審決 昭和六三年七月二一日
二 本願発明の要旨
金属管の内面に複数本の溝部を設け、該溝部をそのピッチが〇・〓~一・五mm、溝深さが〇・二~〇・五mmで、且つ平均溝幅W1と平均山幅W2とがW1>W2なる関係を満たすように形成してなる小型空調機熱交換器用内面溝付伝熱管(別紙図面(一)参照)。
三 審決の理由の要点
1 本願発明の要旨は前項記載のとおりである。
2 これに対し、実願昭四九-一三四四九九号(実開昭五一-六〇五五六号公報)の願書に添付した明細書及び図面を撮影したマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、伝熱性能の向上を目的として、チューブ1の谷径が六~一〇φのチューブにおいて、この内面に高さ、幅、間隙が同じで〇・二~〇・八mmのインナーフィン3を設けたインナーフィンチューブが記載されている(別紙図面(二)参照)。
3 本願発明と引用例に記載のものとを比較すると、両者とも管内に冷媒を流して管外との間で熱交換を行う熱交換器用の伝熱管として共通の技術に属するものであり、引用例に記載のものにおけるフィンの高さ、幅、間隙はそれぞれ本願発明の伝熱管内壁に設けられた溝の深さ、平均山幅W2、平均溝幅W1に相当し、また溝部のピッチに関しては、引用例記載のものの場合、フィンの幅と間隙が同じであるということは〇・四~一・六ということであるから、結局両者は溝の深さと溝部のピッチに関してほぼ共通しており、ただ、本願発明のものが平均溝幅W1と平均山幅W2とがW1>W2なる関係にするのに対し、引用例記載のものは溝幅W1と山幅W2とが等しいという点で相違しているだけである。
4 そこで、この相違点について検討する。内面溝付伝熱管において、溝部のピッチと深さを一定として溝幅を変えた場合、溝部分で面積の変化するところは溝底部であり溝側部は変化しないものであるところ、溝底部の面積が大きいほうが伝熱性能が向上するであろうことは、当業者であれば当然に予測できることと認められる。したがって、引用例に記載のものにおいて、山幅よりも溝幅の方を大きくするようなことは、当業者が容易になし得る設計的事項にすぎないものと認められる。
したがって、本願発明は、引用例に記載のものから当業者が容易に発明することができたものと認められるので、特許法二九条二項の規定により、特許を受けることができない。
四 審決の取消事由
1 審決の理由の要点1ないし3は認める。
同4は争う。
審決は、本願発明と引用例に記載のものとの相違点に関する判断を誤った結果、本願発明の進歩性を否定したものであり、違法なものとして取り消されるべきである。
2 取消事由
(一) 本願発明
(1) 本願発明の目的
本願発明は、小型空調機の熱交換器に用いられる内面溝付伝熱管に関するものである。小型空調機の熱交換器には、従来、ベアー管(管内面及び管外面が平滑な管)が多用されていたが、伝熱性能が充分でないため、その改善が望まれていた。ベアー管の問題点は管内熱伝達率が低いことであり、これを改善するにはインナーフィン管(管内面に多数のフィンが一体に形成されている管)のように管内面にフィンを形成することが有効であるが、フィンを形成すると圧力損失が増大するという問題がある。つまり、圧力損失を増大させずに管内熱伝達率をいかに高めるかが重要な課題であり、本願発明は、このような問題点を解決することを目的とするものである。
(2) 本願発明の作用効果
本願発明は、前記本願発明の要旨記載のとおりの構成を採用することによって、次のような作用効果が得られるものである。
<1>管の内表面積が拡大され、これが有効伝熱面積として寄与する。
<2>管内面の毛細管作用が促進され、管内壁全面にわたって冷媒が充分に回り込み、冷媒の沸騰、凝縮が効率よく行われる
<3>毛細管作用を損なうことなく充分な溝断面積が得られ、冷媒の吸着容量が増加する。
<4>圧力損失はあまり増加せず、冷媒が効率よく循環する
<5>冷媒中に含まれる冷凍機油の目詰りが少なく、伝熱性能の劣化を防止できる。
このような作用が複合して働くことにより、本願発明の伝熱管は、別紙図面(一)の第5図ないし第8図に示すように優れた伝熱性能、冷凍性能を発揮する。
第5図のグラフは、溝山比(W1/W2)と本願発明のベアー管に対する管内沸騰熱伝達率比(h/h0)との関係を示すものであるが、同グラフから明らかなごとく、W1/W2が一を越えると(平均溝幅W1が平均山幅W2より大きくなると)管内沸騰熱伝達率比は急激に大きくなり、W1/W2が一・五~二・〇でその効果が最大に達し、ベアー管の二・三倍前後になる。つまりW1/W2が一を越えた領域に伝熱性能の最も優れた領域が存在するのであり、本願発明はこれを究明したという点において極めて重要な意味を持つものである。次に、第6図のグラフは、溝深さdと管内沸騰熱伝達率比(h/h0)との関係を示すものであるが、同グラフによれば、dが〇・二mm以上で冷凍機油の目詰りの影響が改善されることが分かる。次に、第7図のグラフは、溝深さdと管内動作係数比(本願発明の伝熱管とベアー管の、圧力損失を同じにした状態(圧縮機の出力を同じにした状態)における管内熱伝達率比(B/B0)との関係を示すものであるが、同グラフによれば、dが〇・二~〇・五mmの範囲で管内動作係数比が二倍以上に向上することが分かる。更に、第8図のグラフは、本願発明の伝熱管にプレートフィンを装着して組み立てた空調機とベアー管にプレートフィンを装着して組み立てた従来の空調機との冷凍能力の比較を示すものであるが、同グラフによれば、本願発明の伝熱管を用いると、ベアー管に比較し、ストレート溝の場合Bで最大三五%(一・三五倍)、スパイラル溝の場合Cで最大四〇%(一・四〇倍)も改善効果があることが分かる。
以上のように、本願発明によれば、冷媒の圧力損失が低く、しかも管内熱伝達率の高い高性能の伝熱管を得ることができ、したがって、熱交換器の小型、軽量化が図れ、特に小径管を用いる小型空調機の熱交換器において顕著な効果を発揮することができる。
(二) 引用例記載の考案
引用例記載の考案や本願発明がなされる以前の空調機用の伝熱管は、ベアー管を除けば、別紙図面(二)の第1図に示されるようなインナーフィンチューブが主流であった。このインナーフィンチューブは、管の内面に幅Wの割に高さHの高いフィンを多数形成することにより、管内面の表面積を大きくし、管内を流れる冷媒との接触面積を大きくして、管内熱伝達率を高めたものであるが、伝熱管の径が小さくなると、フィンのため冷媒の流通抵抗が大きくなり、空調機などに組み込んだとき冷凍能力が低下する等の欠点があった。引用例の考案は、この欠点の改良、すなわち流通抵抗の増加による冷凍能力の低下をなくすことを目的としてなされたものである。
この目的を達成するため、引用例記載の考案は、管内面に高さ、幅間隔の等しい〇・二~〇・八mmサイズのフィンを形成する構成とした結果、管内熱伝達率ではベアー管に対する比率で最大五〇%程度アップ、冷凍能力ではベアー管に対する比率で最大一〇%の程度アップという効果を得ている(引用例には従来のインナーフィンチューブに対する効果は記載されていないが、管内熱伝達率ではおそらく従来のインナーフィンチューブより劣るものと推察される。)。
(三) 本願発明と引用例との比較
(1) 技術思想(目的)の相違
小型空調機用伝熱管の伝熱性能は、一般に、<1>管内熱伝達率(管内面と冷媒間の熱の伝わり易さ。)<2>管材料の熱伝導率(管の内面と外面間の熱の伝わり易さ。)<3>管外熱伝達率(管外面と外気との熱の伝わり易さ。)<4>冷媒の流通抵抗(冷媒の流れ難さ。)の四要素により定まる。このうち<2>管材料の熱伝導率は、この種の伝熱管の場合、<1>管内熱伝達率に比べ格段に大きく(熱抵抗の面からいえば、管壁の熱抵抗ば管内面と冷媒間の熱抵抗に比べ格段に小さく)実質的に無視できる要素であり、<3>管外熱伝達率は管外面に取り付けられるプレートフィン等によって左右される要素であるから、伝熱管自体としての伝熱性能は実質的には<1>と<4>によって定まるということができる。
引用例記載の考案は、従来のインナーフィンチューブでは冷媒の流通抵抗が増加して冷凍能力が低下することがあるため、インナーフィンの高さ、幅、間隙が同じという条件のもとで、インナーフィンのサイズを変えてみて、冷凍能力が最大になる範囲(〇・二~〇・八mm)を見出したものであり、主として右<4>に着目して伝熱性能の向上を目指したものであるといえる。
一方、本願発明は、流通抵抗の小さい範囲で管内熱伝達率を高めること、つまり、主として右<1>に着目して伝熱性能の向上を目指したものであって、溝ピッチ〇・三~一・五mm、溝深さ〇・二~〇・五mmの範囲で、平均溝幅W1を平均山幅W2より大きくし、主として管内熱伝達率を高めることにより伝熱性能の向上を図るものである。
したがって、本願発明は、引用例記載の考案とは技術思想を異にする別異な発明であり、引用例のものから当業者が容易に発明できたものではない。
(2) 作用効果の相違
まず、管内熱伝達率についてみるに、引用例の伝熱管は、インナーフィンの高さ、幅、間隙が同じであるから、フィンの高さH(本願発明における溝の深さdに相当)を本願発明と同じ〇・二~〇・五mmとすると溝ピッチは〇・四~一・〇mm、溝山比W1/W2は一・〇となり、このような伝熱管の管内熱伝達率比は、別紙図面(一)の第5図によると約一・四(ベアー管に比べ四〇%のアップ)となる。これに対し、本願発明の伝熱管は、W1/W2を一より大きくしたものであるが、このような伝熱管の管内熱伝達率比は、右第5図によるとW1/W2が一より大きくなると急激に大きくなり、溝深さ〇・二mmの伝熱管ではW1/W2が一・六のときに極大(二・二四)に達し、溝深さ〇・五mmの伝熱管ではW1/W2が一・八のときに極大(二・四二)に達する。
冷媒の流通抵抗については、同じ太さ(溝底内径が同じ)の管であれば溝深さd(フィン高さH)によって定まるものであるから、溝深さd(フィン高さH)が〇・二~〇・五mmという条件のもとでは引用例も本願発明も冷媒の流通抵抗は同じとみてよい。
以上を総合した冷凍能力についてみるに、冷凍能力は管内熱伝達率と流通抵抗を合わせた特性であり、本願発明の伝熱管は、引用例の伝熱管に比べ流通抵抗が同じで管内熱伝達率が高くなっているのであるから、それに応じて冷凍能力も高くなっていることは明らかである。
以上によれば、本願発明の伝熱管は引用例の伝熱管に比べ管内熱伝達率及びそれに応じて冷凍能力が優れていることが明らかであるところ、このような優れた伝熱性能が発揮されるのは、W1/W2を一より大きくしたことによるものである。
(四) 本願発明の進歩性に関する審決の判断の誤り
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の考案とは技術思想を異にする別異な発明であるうえ、溝山比W1/W2に関する構成の相違によって引用例記載のものに比べ伝熱性能の点において格段に優れた作用効果を提供するものである。
審決は、同相違点に関し、「内面溝付伝熱管において、……溝底部の面積が大きいほうが伝熱性能が向上するであろうことは、当業者であれば当然に予測できる」としたうえで、「引用例に記載のものにおいて、山幅よりも溝幅の方を大きくするようなことは、当業者が容易になし得る設計的事項にすぎない〓と判断するが、その根拠は必ずしも明らかではない。溝部のピッチと深さを一定とした場合、溝部の幅を大きくすればその分だけ山部の幅が小さくなり、管内面の表面積(伝熱面積)は実質的に変わらないのであるから、通常なら伝熱性能が向上すると考えるほうがおかしいのである。溝部のピッテと深さがある範囲にあるときに、平均山幅より平均溝幅を大きくしたほうがよいという知見、すなわち別紙図面(一)の第5図の管内沸騰熱伝達率比のピークは平均山幅より平均溝幅が大きい領域にあるという知見は、本願発明者が数多くの実際を繰り返した末に初めて獲得したものでありかかる知見に基づく本願発明は、当業者であれば当然に予測できるようなものではない。
したがって、本願発明の進歩性を否定した審決の判断は誤りであり審決はその取消しを免れない。
第三 請求の原因に対する認否及び被告の主張
一 請求の原因一ないし三は認める。同四は争う。
審決の認定、判断は正当であり、審決にはこれを取り消すべき違法はない。
二 審決が「内面溝付伝熱管において、溝部の面積が大きいほうが伝熱性能が向上するであろうことは、当業者であれば当然に予測できる〓とした根拠は、次の1ないし3のことがいずれも自明であるということにある
1 この種伝熱管にあっては、熱交換率を高めるために管内を流れる冷媒をいかにして管内壁面に多く付着させるかということは基本的な課題であり、内面溝付伝熱管において、毛管作用により管内の冷媒が溝部に吸着しやすくするように溝幅の寸法を選ぶことは周知である(乙第一ないし第四号証)ことからして、毛管作用が低下しない範囲で溝幅を広くすればするほど溝底部、溝側部で囲まれる溝部空間の容積は大きくなり、冷媒の吸着容量は多くなる
2 内面溝付伝熱管において、溝のピッチ、深さを一定とした場合、肉厚の厚い山頂部の面積に対し肉厚の薄い溝底部の面積が大きければ大きいほど管の平均肉厚は薄くなり、管の肉厚方向の熱抵抗は小さくなる
3 厳密にいえば山頂部より溝底部の方が径が大きいから、溝のピッチを一定とした場合、山頂部の面積に対し溝底部の面積が大きければ大きいほど管内表面積は増加し、有効伝熱面積が増加する。
三 原告は、本願発明は審決認定の相違点により引用例のものよりも管内熱伝達比及び冷凍能力が大幅に向上している旨主張するが、溝山比W1/W2に対する管内熱伝達比はW1/W2が、付近のところで極端に変化しているわけではなく、W1≠W2ということにあまり意味はない。
また、引用例には、W1=W2にすることによる技術意味についての記載がないこと、インナーフィンチューブは内部の伝熱性能を高めるようにしたものであり、管内部の伝熱面積に直接関係する溝幅、間隙、フィンの高さ等の寸法がそれぞれ伝熱性能に関係することは自明であること等を考慮すると、W1=W2としたのは単に設計条件の煩雑さを避ける位の意味しかない。引用例のインナーフィンチューブの場合、W1>W2にしてはいけない積極的な理由は見当たらず、また、引用例第1図の従来例には明らかにW1>W2になっていると認められるインナーフィンチューブが開示されていることも考慮すれば、引用例記載の内面溝付伝熱管において、溝山比をW1=W2とすることに代えて、W1>W2とすることにさしたる困難性はないといえる。
第四 被告の主張に対する原告の反論
被告は、審決が「内面溝付伝熱管において、溝部の面積が大きいほうが伝熱性能が向上するであろうことは、当業者であれば当然に予測できる」とした根拠を三つあげているが(前記第三の二の1ないし3)、次のとおり妥当性を欠くものである。
1 内面溝付伝熱管は小型空調機の熱交換器用の伝熱管として新たに開発されたものであり、永年使用されてきたものではないから、内面溝付伝熱管において毛管作用により管内の冷媒が溝部に吸着しやすくするように溝幅の寸法を選ぶことが周知ということはあり得ない。
また、毛管作用とはいっても、いかにすれば冷媒が溝部に吸着しやすくなるかということは理論的に解明されていないことがらであるから、溝幅の寸法を選ぶにしても実際にはどのように選べばよいかは分からず吸着量が増えるか否かは実験してみなければ分からない。
なお、乙第一号証には、右第一の根拠とは全く反対に、溝幅を小さくしたほうが冷媒が吸着しやすくなることを示唆する記載がある。また、乙第四号証は小型空調機用伝熱管とは関係のないものであり、乙第一ないし第三号証からは、内面溝付伝熱管において毛管作用により管内の冷媒が溝部に吸着しやすくするように溝幅の寸法を選ぶことが周知であるということはできない。
2 本願発明は、伝熱管内面の熱伝達率を高めることを一つの目的としているが、伝熱管の熱伝導率についてはまったく問題にしていない。これは、この主の伝熱管の場合、管壁の熱伝導率は管壁と冷媒間の熱伝達率に比べ格段に大きく(熱抵抗の面からいえば、管壁の熱抵抗は管壁と冷媒間の熱抵抗に比べ格段に小さく)、実質的に無視できるからである。被告の主張するように肉厚の薄い溝底部の面積を大きくしたところで、伝熱管全体の熱通過率には測定値に表れるほどの変化はなく、被告の主張する第二の根拠も意味がない。
3 実施例のサイズ程度の伝熱管では、溝ピッチ、溝深さを一定とし、溝は場を大きくして溝山比を一から一・四にしたとしても、管内表面積は僅か〇・三%しか増加しない。別紙図面(一)の第5図によれば、溝山比一・四のときの熱伝達率比は溝山比一のときの熱伝達率比に比べ六七%も増加しており、このように熱伝達率比が大きく増加するのは、表面積の増加のためではなく、他の要因によるものであることは明らかである。
したがって、被告の主張する第三の根拠も意味がない。
第五 証拠関係
本件記録中の書証目録の記載を引用する。
理由
一 請求の原因一ないし三(特許庁における手続の経緯、本願発明の要旨、審決の理由の要点)については、当事者間に争いがない。
二 本願発明の概要
いずれも成立に争いのない甲第四、五号証(本願発明の特許出願公告公報及び特許法六四条の規定に基づく昭和六三年三月二九日付手続補正書、以下「本願明細書」という。)によれば、本願発明は、管内でフレオンなどの冷媒の沸騰と凝縮を促進させる小型空調機熱交換器用内面溝付伝熱管に関するものであり、熱交換器に用いられる伝熱管としては従来ベアー管、コルゲート管(管壁に波付けが施されている管)、インナーフィン管(アルミスターインサート管)などが使用されているが、小径管が用いられる小型空調用熱交換器にはコルゲート管やインナーフィン管は適用できずベアー管が多く使用されているものであるところ、ベアー管外面の伝熱性能を向上させるために管外面に設けられるフィンの形状、フィンピッチ、あるいはフィン通過風速の調整に関しては既に実用的限界に達している現状に鑑み、管内面に形状を規定した複数本の溝部を形成することにより、管内における沸騰と凝縮作用を向上させて伝熱性能の優れた高性能の小型空調機熱交換器用内面溝付伝熱管を開発することを目的とするものであることが認められる。
三 取消事由に対する判断
1 引用例の記載内容が審決の認定のとおりであること、本願発明と右引用例記載のものとは、両者とも管内に冷媒を流して管外との間で熱交換を行う熱交換器用の伝熱管として共通の技術に属するもので、引用例に記載のものにおけるフィンの高さ、幅、間隙はそれぞれ本願発明の伝熱管内壁に設けられた溝の深さ、平均山幅W2、平均溝幅W1に相当し、両者は溝の深さと溝部のピッチに関してほぼ共通しており、ただ、本願発明のものが平均溝幅W1と平均山幅W2とがW1>W2なる関係にする(以下、「本願発明の溝山比構成」という。)のに対し、引用例記載のものは溝幅W1と山幅W2とが等しい(以下、「引用例の溝山比構成」という。)という点で相違しているだけであることについては、当事者間に争いがない。
2 本願発明の進歩性についての判断
(一) 本願発明と引用例との技術思想(目的)の同一性
本願発明が熱交換器用伝熱管の管内における沸騰と凝縮作用を向上させて伝熱性能を高めることを目的としたものであることは前認定のとおりであるところ、前掲甲第四、五号証によれば、本願明細書には「本発明に係る小型空調機熱交換器用内面溝付伝熱管によれば管内面に上記の如く形状を規定した複数本の溝部を形成することにより、有効伝熱面積を拡大すると共に、冷媒の圧損を低く抑えて、管内の沸騰および凝縮熱伝達を向上させ、しかも冷媒中に含まれる冷凍機油による目詰りの問題を少なくした高性能な伝熱管を得ることができる。」との記載(甲第四号証六欄二〇ないし二七行)の存することが認められ、本願発明は、管内熱伝達率(管内面ど冷媒間の熱の伝わり易さ。)の向上及び冷媒の流通抵抗(冷媒の流れ難さ。)の抑制の両面からその改良を加えようとするものであるということができる。
一方、引用例記載の考案も熱交換器用の伝熱管に関するものであることは前認定のとおりであるところ、成立に争いのない甲第六号証(引用例)によれば、引用例には「本考案はパイプの内部に立上りフィンを設けたインナーフィンチューブの改良に関するものである。……かかる構造のインナーフィンチューブにおいて、内部の熱交換面積が増加するとともに熱伝達率も増加して熱交換量が増加するわけであるが管内の流通抵抗が増加して、冷凍サイクル上に組込んだ時の冷房能力が常に増加するとはかぎらず逆に低下する等の欠陥があった、本考案は上記欠陥を改良するために、インナーフィンの高さH、幅W、間隙Lを同、 法にした形状において、パイプ1の谷径Dに対するインナーフィン2の高さHを明らかにして、能力のすぐれたインナーフィンチューブを提供しようとしたものである。」との記載(一頁九行ないし二頁九行)が認められ、引用例記載の考案においても、管内熱伝達率と冷媒の流通抵抗の両面を考慮してその改良を加えようとするものであるということができる。
なお、原告は、引用例記載の考案は主として冷媒の流通抵抗に着目してインナーフィンチューブの伝熱性能の向上を目指したものであるのに対し、本願発明は主として管内熱伝達率に着目してべアー管の伝熱性能の向上を目指したものであって、本願発明と引用例記載の考案とは技術思想を異にする別異な発明である旨主張するが、両者とも、管内に冷媒を流して管外との間で熱交換を行う熱交換器用の伝熱管として共通の技術に属するものであり、管内熱伝達率と冷媒の流通抵抗の両面を考慮してその改良を加えようとするものであることは右認定のとおりであって、その構成においても審決の認定する相違点を除いて同一であることは前認定のとおりであるから、原告の右主張は理由がない。
(二) 本願発明の溝山比構成の作用効果及びその技術的意義
前掲甲第四、五号証によれば、本願明細書には、本願発明の溝山比構成の作用効果に関する記載として、「第5図のグラフは上記伝熱管内で冷媒を沸騰させたときの管内沸騰伝熱特性を測定したもので、横軸に溝山比(W1/W2)、縦軸に本発明伝熱管のベアー管に対する管内沸騰熱伝達率比(h/h0)をとって、溝部2のdをパラメーターとして表わした。」との記載(甲第四号証四欄三ないし八行)及び「第5図の記載から明らかな如く、平均溝幅W1が平均山幅W2を越えると、即ちW1>W2で管内沸騰熱伝達率比(h/h0)は大幅に向上し、W1/W2が一・五~二・〇の範囲で最大値を示す。」との記載(同一七ないし二〇行)の存することがが認められ、更に、同第5図からは、溝深さ〇・二mm、〇・三五mm及び〇・五mmの伝熱管において、溝山比(W1/W2)が〇~一では管内沸騰熱伝達率比(h/h0)は一・〇~一・四〇の範囲で漸増状態を示すが、溝山比(W1/W2)が一を越えたところからは管内沸騰熱伝達率比(h/h0)は更に増加し、溝深さ〇・二mmの伝熱管では溝山比(W1/W2)が約一・六のときに最大値(二・二四)を示し、溝深さ〇・三五mmの伝熱管では溝山比(W1/W2)が約一・七のときに最大値(二・三五)を示し、溝深さ〇・五mmの伝熱管では溝山比(W1/W2)が約一・八のときに最大値(二・四二)を示すことが読み取れる(なお、原告は、以上の作用効果のほかに、管の内表面積の拡大、圧力損失の増加の抑制及び冷凍機油の目詰りによる伝熱性能の劣化の防止を主張する。しかしながら、溝部のピッチと深さを一定とした場合には溝山比を変えても管の内表面積は実質的には変わらないこと、及び、冷媒の流通抵抗は同じ太さの管であれば溝深さによって定まるものであることは、いずれも原告の主張のとおりであると解され、また、冷凍機油の目詰りは山幅とは関係なく溝部の形状によって規定されるものであると解されるうえ、更に、前掲甲第四、五号証によれば、本願明細書の記載上も、これらの各効果は溝部のピッチ及び深さを前記本願発明の要旨のとおりに定めたことによって得られる効果であることは認められるが、更に進んで、該溝部の形状を本願発明の溝山比構成とすることによって初めて生ずる効果であるとの記載の存在は認められないから、これらの効果をもって本願発明の溝山比構成の作用効果と解することはできない。)。
そこで、右に認定した本願発明の溝山比構成の作用効果の技術的意義について検討する。右甲第四、五号証によれば、本願明細書には、「先ず第一に上記形状(本願発明の要旨に定められた形状の意)の複数の溝部2を形成することにより内表面積が拡大され、これが有効伝熱面積として寄与する。第二に上記のごとく溝部2のピッチPを〇・三~一・五mmとし、その形状を規定することにより毛細管作用が促進され、管内壁全面にわたって冷媒が十分にまわり込み、溝部2の凹凸によって更に沸騰が促進されると共に、凝縮した冷媒の帰還を促進する。第3に上記溝形状により毛細管作用を損なうことなく、十分な溝断面積が得られ、溝部2内への冷媒の吸着容量が増加する。」との記載(甲第四号証三欄二四ないし三四行)の存在することが認められ、本願発明において管内面に溝を形成することによる伝熱性能の向上の効果は、内表面積の拡大によるほか、毛細管作用による管内壁面への冷媒の吸着性の向上によるものである旨が説明されている。そして、右甲第四号証によれば、更に本願明細書には「溝山比W1/W2が一・〇を越えると、溝部2の毛細管作用は低下することなく、平均溝幅W1の増加に伴って冷媒の吸着容量が増加して行き、W1/W2が一・五~二・〇でその効果が最大に達し、これを越えて平均溝幅W1が大きくなっていくと、毛細管作用が低下して行き、これに伴って吸着効果も低下して行くことから、全体として第5図に示すような山形のカーブを画くものである。また、溝部2の深さdによる影響は、深さdが大きいほど毛細管作用と、これに伴なう吸着効果が大きくなり、全体として管内沸騰熱伝達率比(h/h0)は向上する。」との記載(同四欄二一ないし三二行)の存することが認められる、これらの記載によれば、本願発明において、溝山比(W1/W2)の値を一を越えて適宜変化させることによってより高い管内沸騰熱伝達率比(h/h0)を得ることの技術的意義は、定められた範囲の溝の深さとピッチを前提として、毛細管作用を低下させない範囲内で可能な限り平均溝幅を平均山幅より大きくすることによって溝断面積を大きくし、溝部内への冷媒の吸着容量を増加させることにあると認めるのが相当である。
(三) 本願発明の溝山比構成の容易想到性
本願発明の溝山比構成の技術的意義はを右のように解すべきところ、当業者が引用例記載の考案との相違点である
本願発明の溝山比構成を採用することが容易であるか否かは、引用例記載の考案において、定められた範囲の溝の深さとピッチを前提として(その範囲は前記のとおり本願発明と共通する部分を含む。)、溝部内への冷媒の吸着容量を増加させるために毛細管作用を低下させない範囲内で可能な限り平均溝幅を平均山幅より大きくすることを当業者が想到することが容易であるか否かに帰着するから、以下、この点について検討する.
まず、本願発明及び引用例記載の考案におけるように伝熱管の管内面に溝を形成することによる伝熱性能の向上の効果は、内表面積の拡大によるほか、毛細管作用による管内壁面への冷媒の吸着性の向上によるものであるとすることの周知性について判断する。伝熱管の管内面に溝を形成することによる伝熱性能の向上の効果が、内表面積の拡大によるほか、毛細管作用による管内壁面への冷媒の吸着性の向上によるものであることが本願明細書に説明されていることは前認定のとおりであるが、本願明細書には、本願発明の前提となるこれらの技術的事項が本願発明者の本願発明において得た新たな知見であることを示す記載を見出すことができない。しかして、成立に争いのない乙第一ないし第四号証(特開昭五二-三八六六三号公報(公開日昭和五二年三月二五日)、特開昭五一-一四二七四四号公報(公開日昭和五一年一二月八日)、特開昭五一-六一〇四九号公報(公開日昭和五一年五月二七日)及び特公昭五一-四一七〇三号公報(公告日昭和五一年一一月一一日))はいずれも本願発明の出願当時に公知となっている公開特許公報もしくは特許公告公報であるところ、これら公報にも、「熱伝達率が大幅に向上するのは、深さ〇・〇二~〇・二mm、ピッチ〇・一~〇・五mm程度の細かい溝をつけると、沸騰液は管壁に沿って毛細管現象により、伝熱管の内面全体にわたってへばり付くように薄い液膜を形成し、沸騰の核となる多数の凹凸が与えられることによるものと考えられる。」との記載(乙第一号証頁右下欄九ないし一五行、乙第二号証二頁左下欄四ないし一〇行)、「熱伝達率が大幅に向上するのは深さ〇・〇二~〇・二mmピッチ〇・一~〇・五mm程度の螺旋の細い溝をつけると沸騰液は管壁に沿って回転力を受けながら、また毛細管現象によって伝熱管の内壁の全ての面にわたってへばり付くように薄い液膜を形成しながら流れる上(ガス状になったものは中心部を流れる)沸騰の核となる多数の凹凸すなわち細い溝が付けられていることによるものと考えられる。ことの記載(乙第三号証二頁右上欄一二ないし二〇行)、「吸収器の中で流れる液体は最大可能な面積にわたって拡がらなければならない。このことを達成する一つの仕方は液体が流れるのに通る伝熱部分を形成する管の内部に縦方向の毛管状のみぞを設けることである。……毛管効果を確実に得るようにみぞを正しく作るなら、液体を管の壁にそって吸上げ、それで管の内面の大抵の部分を液体の薄膜でおおう。」との記載(乙第四号証二欄一ないし一一行)が認められる。これらの記載と前記のように本願明細書に前記知見を本願発明者が見出したことを示す記載がないことからみて、伝熱管の管内面に溝を形成することによる伝熱性能の向上の効果が毛細管作用による管内壁面への冷媒の吸着性の向上によるものであること自体は、この種の技術分野においては、本願出願前において当業者に周知のことがらであったものと認めるのが相当である。なお、原告は、乙第四号証の公報は小型空調機用伝熱管とは関係のないものである旨主張し、右乙第四号証によれば同号証には「装置は船上でか飛行機内でか車馬隊の中で冷凍機を作動するために装置を使うときに起る傾斜による影響を、装置が作動中に受けない。」との記載(六欄二ないし四行)の存することが認められるが、同号証によれば、これら記載はあくまでも実施例に関する記載であって、同号証記載の発明は伝熱管の使用される冷凍装置の種類を限定するものではないことが認められるし、伝熱管の管内面に溝を形成することによる伝熱性能の向上の効果が毛細管作用による管内壁面への冷媒の吸着性の向上によるものであるという原理自体は各種伝熱管に共通するものであって、独り小型空調機用伝熱管に関するものとは認められないから、原告の右主張は理由がない。
以上のとおり、伝熱管の管内面に溝を形成することによる伝熱性能の向上の効果が毛細管作用による管内壁面への冷媒の吸着性の向上によるものであることが周知技術であるとするならば、伝熱管の伝熱性能を向上させるという課題の下において、管内壁面への冷媒の吸着容量が大きければそれだけ伝熱性能が向上すること、溝の深さとピッチが規定される場合には平均溝幅を平均山幅より大きくすることにより溝底部、溝側部で囲まれる溝部空音の容積が大きくなり、管内壁面への冷媒の吸着容量を大きくすることができることは、いずれも当業者の容易に知り得ることがらであると解するのが相当であり、してみると、引用例記載の考案において、定められた範囲の溝の深さとピッチを前提としたまま、溝部内への冷媒の吸着容量を増加させるために毛細管作用を低下させない範囲内で可能な限り平均溝幅を平均山幅より大きくすることを当業者が想到することにさしたる困難性はなかったものというべきである(引用例記載の考案は管内面の溝として高さ、幅、間隙を同じ寸法とする構成としているが、この点は、前記周知の技術的事項に照らせば、右考案に平均溝幅(間隙)と平均山幅(幅)を適用することの妨げとはならないものというべきである。)
なお、本願発明の効果について引用例記載の考案との対比において検討すると、別紙図面一第5図によれば、管内沸騰熱伝達率比について、山溝比W1/W2の値が一の場合(引用例)と一を越える場合(本眼発明)を比べると、一見後者の方が優れている如くである。しかし、本願発明において、右伝達率比は、前記二のとおり、溝深さ〇・二mm、〇・三五mm、〇・五mmの伝熱管がそれぞれ溝山比の値が一・六、一・七、一・八のとき最大値を示し、溝山比の値が右数値を越えると下降をたどることが第5図に示されており、また、本願明細書には、右伝達率比は、溝山比の値が一・五~二・〇の範囲で最大値を示すこと、溝山比が右の値を越えると(平均溝幅が平均山幅より更に大きくなると)、毛細管作用の低下とこれに伴う吸着降下の低下がみられることが記載されていることは前記二に認定したとおりであり、しかも、右第5図によれば、右下降はほぼ直線上であることが認められるから、溝山比が更に大きくなれば、右伝達率比は溝山比の値が一の場合に比し低下することは明らかである(例えば、右第5図によれば、深さ〇・二mmの伝熱管にあっては、溝山比の値が三に達する以前(ほぼ二・八)に右伝達率比は溝山比の値が一の場合より低くなる。)。しかして、本願発明は、溝山比について一を越えることのみを要件とするものと定めており、その比率の値の上限を画していないから、右に述べたところによれば、本願発明において、溝山比の値が一の場合に比し、常に伝達率比が大きいとは限らないのであり、そうであれば、溝山比が一を越えることを要件とするとされる本願発明がこれを一と定める引用例記載の考案に比し、常に優れた効果(管内沸騰熱伝達率比)を示すものとは限らないのである、この点からも、本願発明の進歩性は否定せざるを得ないのである。
(四) よって、引用例記載の考案における引用例の溝山比構成に代えて本願発明の溝山比構成を採用し、本願発明の構成とすることは、当業者の容易に想到し得ることがらであり、引用例記載の考案に対する本願発明の進歩性は否定されるべきものと思料する(原告は、溝部のピッチと深さを一定之した場合、溝部の幅を大きくすればその分だけ山部の幅が小さくなり管内面の表面積(伝熱面積)は実質的に変わらないのであるから、通常なら伝熱性能が向上すると考えるほうがおかしい旨主張するが、伝熱管の管内面に溝を形成することによる伝熱性能の向上の効果は、内表面積の拡大によるほか、毛細管作用による管内壁面への冷媒の吸着性の向上によるものであることが周知であることは前認定のとおりであるところ、同主張は右周知の事実を全く考慮にいれない見解であって、採用の限りでない。)。
3 以上によれば、「内面溝付伝熱管において、溝部の面積が大きいほうが伝熱性能が向上するであろうことは、当業者であれば当然に予測できることと認められる。したがって、引用例に記載のものにおいて、山幅よりも溝幅の方を大きくするようなことは、当業者が容易になし得る設計的事項にすぎない」として本願発明の進歩性を否定した審決には、判断の誤りはなく、原告の主張する取消事由は認められない。
四 よって、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松野嘉貞 裁判官 舟橋定之 裁判官 杉本正樹)
別紙図面(一)
<省略>
1…金属管、1a…管内面、2…溝部、3…山部、
P…ビツチ、W1…平均溝幅、W2平均山 幅、d…深さ.
別紙図面(二)
<省略>
1…チューブ、2、3…インナーフイン
A…抵抗比、B…熱伝逹比、C…冷凍能力比
H…高さ、W…幅、L…間隙、D…谷径
d…山径